Kodak Ektar 35mm f3.3
 

Lens Data

Lens Unit

Lens Photo


発売:1941年
コダックエクトラ用交換レンズ
構成:3群5枚 ヘリアー型


Lens Impression

コダック・エクトラは米国が生んだ最高峰の精密多機能35mm判カメラと言ってよいでしょう。
エクトラの1型は1941年という第二次世界大戦中に発売され、①50mmから254mmをカバーするパララックス自動補正型ズームファインダー内蔵、②距離計基線長は168mmと長く、ファインダー・距離計の両方の視度調整が可能、③マガジンによるフィルム交換可能、④ボディ背面のレバー式巻き上げ、クランク式巻き戻し、背蓋開閉式など、数多くのライカやコンタックを大きく凌駕する性能を備えていました。(シャッターは布幕フォーカルブレーン式、速度はB、1〜1/1000秒)。
さらにスプリングモーターを内蔵したエクトラ2型も計画されましたが、試作に終わったようです。


ただ、残念なことに、重くて扱いにくいうえ非常に高価であったこと、さらに発売が1941年とまさに戦時下であり、市場が混乱していたことなどから販売は不振でした。戦後の1948年に再発売という形も撮ったようですが結果はあまり改善しなかったようです。事業が大赤字となり、余剰のレンズをTV用エクタノンとして放送業界に提供したことはよく知られています。

そうしたある意味採算を度外視したカメラでしたので、レンズも優秀ですし、質感もとても素晴らしいです。そうしたエクターレンズの中で、ある作例を見てから長く憧れていたのが、このエクター35mmf3.3でした。結果は期待通りでした。

このレンズ、アダプターがほとんど存在しません。今回の個体もアダプターが付いておりませんでしたので、自作しました。
方法は厚さ1mmくらいのリングを挟んでライカL-Mアダプターを直付けするという単純なもの。これでEVF前提なら問題なく使えます。
但し、本家ライカデジタルでは使えません。EVF使用の前にカメラの距離計のコロにレンズ後端が当たってしまうからです。
α7、ハッセル907Xなら問題ありません。特に907Xでは周辺がけられないので、超軽量28mm換算レンズとして大変重宝します。
ぜひご参考に。

 Photos with Ektar 35mm
 
Comment
2021
Omurai,Bunka
(小村井、文花)
毎年恒例になっている、小村井香取神社の梅を拝見しに行ってきました。今年はミス墨田の登場もなく、静かな梅園でした。
快晴のもと、エクター35mmを絞って使うと、このレンズの実力がいかんなく発揮されます。ヘリアー構成のレンズは自分の経験として、ボケが硬くなる傾向があると感じていますが、この使い方なら逆に切れ味の良い描写に繋がるのではないかと思います。
まだまだ昭和が残っているこの地区ですが、毎年変わっていっており、いつまでこういう風景を楽しめるのかは分かりません。
2021
Nippori、Tabata
(日暮里、田端)
2021年の梅もまだ咲かないころ、日暮里から田端方面を歩きました。お供したのはハッセル907Xです。エクター35mmは44mmx33mmの受光素子サイズでもほとんど周辺部がけられることがなく(無限遠だとわずかにけられます)、実質28mm画角のレンズとして非常に役立ちました。
描写はさすが長年憧れていたレンズだけあって、申し分ないと感じました。
     
 
 
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